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生活チープサイド

「荒野に立つ」&「残酷な果実」

母の祈りライブの時、来られなかった母の代わりに、私は「残酷な果実」という母の詩を朗読しました。
そこに出てくる「荒野」のイメージが、今製作中の「荒野に立つ」というネアリカのイメージにとても近いと、hideさんが言ってくれました。

ネアリカとは、メキシコ山岳部に住む先住民ウイチョル族がつくる、毛糸でつくる絵画なのだそうです。
今回の母の詩集の表紙に、AKIRAさんのネアリカを使わせていただけることになって、私は初めてこの「ネアリカ」というものを知りました。
hideさんは、自分でもネアリカをつくるアーティストでありデザイナーである方なので、母の詩集の表紙の画像のサイズの調整など、ネアリカアーティストならではの経験を活かして協力してくれました。

そして、hideさんがこれから展示する「荒野に立つ」のネアリカに、母の「残酷な果実」をコラボレーションとしてボードで展示したいとのありがたいお申し出が!
母ももちろん喜んで協力したいとのことでした。
私も、母の作品がこうやって、新しいアーティストの方にインスピレーションを与えてくれることがとてもうれしいです。

もしお時間ある方、下記の場所で展示をされているようなので、見に行ってみてください。
(ちなみに、hideさんの「荒野に立つ」は7月20日以降に展示されそうです。)

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●下北沢VARRELJOHN 

     展示期間 7月15日(火)~7月31日(木)
     場所   Cafe&Bar comp.(下北沢)
     時間     13:00~翌5:00
     入場無料 (通常営業のためオーダーは必要です)
     
     地図の詳細はCafe&Bar comp.さんのHPをご覧ください。
      
     ★レセプションを7月20日(日)19:00~22:00に行います。
      展示アーティストと話しできるチャンスです。
      音楽のアーティストを呼んだイベントも企画しています。
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ちなみに、hideさんは、ホスピスでのミニライブの際の写真もすぐ送ってくれた上、しかもどうやらそのときジャージからパンツが丸見えだったらしい(夫談)私のパンツがちょうど見えない具合に写真に撮ってくれた(!)大変ジェントルな方です。
私も、母の体調と相談しながら見に行ってみたいなと思っています。


そして、下記に、母の「残酷な果実」を全文掲載します。
この詩を書いた時、母は私たち家族と離れて、ひとりで暮らすことを選びとったのでした。
この詩を書いた時の母の気持ちを思うと胸が詰まります。
でも、今、私たちは「家族」の絆を改めて結び直せたので。

それは、すい臓がんという、この大きな病気がくれた大きなギフトであったと思います。

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「残酷な果実」    梅田智江(うめだ さとえ)



遥かに来た

立ち止まってみればここは荒野
かつてない荒野だ

わたしはただ縛りあわないで
愛したかっただけだ
愛されたかっただけだ

懸命に歩き辿り着いた場所
家族と離れてひとり小さなアパートに住む
子供たちが大人になった今は

愛の神話
家族の神話の夢から覚めて

(だれもがひとりだ)
剥き出しの事実に立ち竦む

街を流れる
トウキョウという都市を流れる
ひとりでいるひとがたとえようもなく寂しく見える
なぜだろう
ひとがひとりでいるというだけで
こんなにも無防備に「存在」そのものが晒されてしまうのか
それともトウキョウという都市が
ひとりを寂しく見せるのか


無音の悲鳴
そのひと自身も気がつかない悲鳴が
毛細血管のように裸の全身を隈どっているのが見える
街を流れる

家族という大切なものからみずから離れて
大切だからこそ離れて
飢えたコヨーテの荒々しさで歩くわたしは何なのか

自由になりたいと
家族も自由であって欲しいと
自由だからこそ結びあえると
そう願ったことが何を踏みにじったことになるのか

遥かに来た

時代と歩いて時代を作って
ついに時代の檻から抜け出すことは叶わなくて
ここに出た

どんな「愛の家族」も時代から逃れられない
よその国の人々を気の遠くなるほど殺戮して得た幸せ
弱いものを優しいものを踏み躙って得た幸せ
たとえば
女もまた女であるというだけで
どれだけの悲鳴を呑み込んできたことか
「愛の家族」のために

どんな「愛の家族」も
だれかの悲鳴のうえに築かれてる
どんな幸せも
だれかの悲鳴のうえに築かれてる

込み上げてくる慚愧の思い

だが わたしは
こんな寂しい荒野に出るために生きてきたのではない

わたしはただ縛りあわないで
愛したかっただけだ
愛されたかっただけだ

そうしてここにいる

「自由」という
それがどんなに残酷な果実であるか思い知った

他人の血も自分の血もそこに混じる
血まみれの残酷な果実

摘み取ったからには
もうもとには戻れない
戻ってはならない

荒野を歩くしかない

ひとりきりで
それでも声を呼び交わしながら
by sima-r | 2008-07-18 00:47 | Mother
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るい 33歳女子。
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