愛すべきチープサイド
風邪を引いてすることもないので、土曜日からずっと、本やまんがを読んでは眠る日々。
今日は『ドリトル先生と緑のカナリア』をひさしぶりに読み返した。 「ドリトル先生物語」は、私が子供のころから大好きだったシリーズだ。 おさない私は、頭の中で、ドリトル先生の助手トーマス・スタビンズ君とならぶもう一人の助手として登場し、先生や動物たちとたくさんの冒険をしたものだ。 本のページを開くと、なつかしい面々があらわれる。 愛すべき食いしん坊のブタのガブガブ、しっかりもので厳しくも優しいアヒルのダブダブ、探し人ならおまかせ!犬のジップ、計算の得意なフクロウのトートー、ひかえめな白ネズミ。 そして何より、私がいちばん好きなのは、そう、ロンドン・スズメのチープサイドだ。 セントポール寺院にある聖エドモント像の耳の穴に住む、この小さくて勇気あるかんしゃく玉みたいな陽気なスズメ。 ロンドンなまりのべらんめえ口調だけれど、ドリトル先生への忠誠心はとてもあついのだ。 このブログもそんな彼の名にあやかっているのは、最初の日記にも書いたとおりだ。 今回も、なつかしさと面白さで一気に読んだ。 それで思ったのは、弱ったときは、私は小さい頃に好きだったものに戻っていくんだなあということ。 去年の2月に子宮外妊娠で入院したとき、私は病院でずっと安房直子を読んでいた。 安房直子の童話は、もはや私の血や肉、日常に溶けてしまっているほどなのだけれど、いちばん弱っていたあのとき、どうしても読み直したくなって夫に家から全部持ってきてもらったのだった。 まんがもたくさん読んだけれど、まんがもたくさん癒してくれるのだけれど、本当に弱ったときは新しいストーリーはつらいときがある。 ふだんなら読み飛ばしてしまうような言葉、聞き逃すようなことでも、そのことについていちばん悩んでいるときは、ふとしたことで気になってしまう言葉がある。 子宮外妊娠のときは、私はほんとうにほんとうに産まれてこられなかった赤ちゃんのことが悲しかったので、テレビのお笑い番組を観ていて「いや~このネタは難産でしたわ!」とかいう言葉にすら反応してしまっていた。 もちろん、それがいやとか傷ついたということではないのだけれど、ただ反応してしまう。 今もそれと同じだ。 これまでずっと読んでいた『奈緒子』というマラソンまんがの続きを借りたら、監督が「末期がん・余命半年」だという。 読むのを楽しみにしていた『3月のライオン』も、将棋まんがだからと安心して読んだら、主要登場人物の親はみんな死んでいる。 病気とは何も関係ないのに、将棋の技に「二階堂ワクチン」とかいう名前が出てくる。 別にそれで傷つくわけじゃない、話も面白く読める。 でも、「ワクチン」とか「余命」とか「親の死に目」とか「介護」とか、そういうキーワードにいちいち心が立ち止まってしまう。 だから最近は、新しい物語はちょっと怖い気がする。 ドリトル先生は、だから私に優しいのだった。 最初に読んだのは6歳のとき。 あれから25年間、ドリトル先生はドリトル先生のままでいてくれた。 ガブガブは相変わらず食べ物のことばっかり、ダブダブは、その白い羽の胸に抱きつきたいくらいしっかりした家政婦ぶりだ。 ほんとに、なんだか自分のうちに帰ったみたいな気がした。 ずっと図書館で借りていたから、この際新品でハードカバーで買ったろうか!とアマゾンで見てみたら、全部新品だと25000円を超えていました。 オーノー!!! しかし一生読むし、子供ができたら絶対読ませたいし、買うべきか買わざるべきか・・・。 *** ちなみに、この「ドリトル先生」シリーズの翻訳は、皆さん、誰がやっていると思いますか? なんと井伏鱒二先生なのです! 英米児童文学が日本に入ってきたばかりの頃、まだ翻訳ができる人は数少なかったのでした。 だからこの頃は、日本を代表するような作家が、その素晴らしい文才を惜しみなく子供の本に捧げてくれていたのでした。 石井桃子さんの『クマのプーさん』もそうですが、すばらしい名訳です。 図書館に行けば必ずありますので、未読の方はぜひ読んでみてくださいね。 *** 追記 ドリトル先生シリーズ、とりあえず1~6まで買っちゃいました! あと音楽と人6月号(クロマニヨンズ掲載)も! それと、まんがのわるくちみたいなことを書いてしまってますが、 なっつんの貸してくれた『光の大社員』は何も考えることなく大笑いできました。 あと、『君に届け』6巻で乙女の胸キュンを、「デトロイト・メタル・シティ」5巻でお下品系笑いを補給したことを追記しておきます!
by sima-r
| 2008-05-19 13:49
| Books
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るい 33歳女子。
<家族> 夫 (スペハズ) 息子(ピースケ) 猫 (おひげ) 今日のピースケ
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