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生活チープサイド

通院と生活

朝起きて、母の朝食の用意をする。
消化器のがんのせいで食欲のない母のため、消化によいものをほんの少量。
甘みが少ないがカロリーが高い「粉飴」というのを姉が買ってきてくれたので、これを砂糖がわりにバナナジュースに入れる。
たくさん食べ物を盛りつけられると吐き気が出るので、母の気に入りの骨董の皿に少しだけ美しく盛りつける。

母は、薬の副作用で便秘と下痢を繰り返し、最近は膀胱炎のような症状に苦しんでいる。
夜中や明け方にトイレに駆け込むので、トイレの明かりは一晩中つけておく。

食事が出来上がっても、体調が悪くて食べられないときも多い。
美しく盛られたまま冷めていく料理を鍋に戻し、ほかの食材にはラップをかける。
バナナジュースはミキサーから注いだばかりがふわりとしておいしい。
母がトイレから出るのを見計らってグラスに注ぐが、飲めないときはまたミキサーに戻す。それを繰り返す。

今日は市役所へ転入届や保険の手続きへ行った。
本人ではないので委任状を作っていったが、なるべく母の手を患わせたくなくて母のサイン部分を自分で書いたところ、女性の係員に筆跡がとても似ていると怪しまれる。
本人でないと、をあまりに連発するので頭に来て、母は末期がんで腕があがりません、と言ったらおとなしくなった。
ずっとやりたかった高額療養費の手続きと、介護保険の申請もすませた。

今日は午後から病院だったので、役場での待ち時間に電車の時間を調べる。
ぎりぎりになりそうで焦るが、母への電話ではのんびりと落ち着いた口調を心掛ける。
どんなに焦っても、辛くても不愉快でも、マイナスの感情は母には示さないように。
私が演じたいのは、そんな「頼れる・しっかりした・よく気のつく」娘だから。

役場の手続きが長引き、駅で落ち合うことにした。
姉がついているとはいえ、姉はあまり気のつかない人なので心配になり、何度も持ち物の再確認の電話をする。
案の定、今日精算する予定の入院費(高額!)を忘れていた。

乗り換え駅にある生ジュース売場で、私と姉はジュースを買う。
飲みたいわけではない。
私たちがおいしそうに飲むのを見て、母の食指が動かないかなと思うのだ。
こういう、せつない、息を飲むような思い。
母は、姉のラズベリージュースを少しだけ飲んだ。
それだけで、声に出さずとも嬉しい私たち。

都心まで行く電車は混んでいた。
シルバーシートには若い人がたくさん座っている。
中でもいちばん若い女性に、母が体調が悪いので席を譲ってくれませんか、と言って譲ってもらった。

ほんとうに、世界中の、あらゆる人に、あらゆるものに願ってしまう。
どうか、みなさん、母に優しくしてください。
母にぶつからないでください。
歩みが遅くてもにらまないでください。
母が外を歩くときは、どうかいちばん爽やかな天気で、たくさんの花が咲き、気持ちのいい日にしてください。
そんな願い。そんな祈り。

駅からはタクシー。
階段を登らせたくないので、エスカレーターのある場所にさりげなく案内する。
私も駅構内には不案内だけれど、不安を顔に出さないようにする。
それもまた心掛けていることの一つ。
夫のいない母にとっては、たくましく頼れる、男らしい存在が必要なのだ。

病院に着いて、まず母と姉には座ってもらい、受け付けをしてくる。
まずは採血なので、採血コーナーを確認後、母をそこまで案内する。

ちょうど昼時になったので、病院内のレストランに行く。
母の食欲がどんな調子か探りつつ、母もつまめそうなサンドイッチセットをさも食べたそうに頼む。
食べ物を目にすると、少し食べてみようかなと思うものだから。
母はジュースしか頼まなかったが、サンドイッチがきたら食べられそうだと言い、小さな一切れを食べてくれた。

診察の予約時間が来て待合室に戻る。
母の主治医は全国でも有名な膵ガン専門の先生で、予約していてもものすごく待つ。
その待ち時間に入院費の精算へ。
ずいぶんな大金だ。
このときの入院のときは、高額療養費の手続きをする暇がなかったので、きっちり取られた。
自己負担分以上の分はいずれ返されるけれど、それは3ヶ月は先の話だ。

その後、待合室で、母と診察時に聞きたいことの再確認をする。
私も入院したときそうだったが、患者本人が医師に質問するのは怖いものなのだ。
当たり前のことを、と一笑に付される気がして、素朴な疑問ほど聞けない。
母は、とにかく今は膀胱が辛いのと、眠れないのが辛いと言う。
では薬を変えてもらえるか聞いてあげると言うとほっとした顔をしていた。
また、有償治験薬の丸山ワクチンを試してみたいので持ってきたが、その注射もしてくれるよう頼んであげると約束した。

1時半の予約は、やはり長引いて4時まで待つことになった。
母が疲れてきたので、待合室のベンチに寝かせる。
頼もしい娘としては、ここで上着をさっと脱いでかけてあげるものだろう。
今日は私は上着の下は薄着だったので正直寒かったが、私は暑いから!と男らしいプチ演技をする。

そしてようやく診察。
他の場面でもそうだが、今の私が心掛けているのは、母を矢面に立たせないことだ。
過保護にするわけではなく、母が主張したいときは主張させるが、実務的なことや質問などは代わるようにしている。
母がやりたいことを聞いて、実現可能なら迅速に行い、不可能なら落ち着いてできない旨を説明する。

母は昔から鬱病気味で、長く鬱の薬も飲んできた。
末期がんだとわかった今、絶望して鬱になってもおかしくないのにそうなっていないのは、こうやって辛抱強く私たちが対応し、母が病気になっても尊重している姿勢でいるからだと思う。
自分が遠からず必ず死ぬ、ということを知るのは大変なことだ。
そのショックを、当人が受け止めやすくしてあげるのは、家族として、人として当然のことだ。

さて診察後。
疲れた母を待合室で待たせ、会計と薬の受け取りへ。
薬は院外処方なので外へ行かねばならないので姉に頼んだ。
待つ間、母も私も疲れきり少し眠る。

帰りはタクシーで駅まで。
処方された薬の中には流動食のパックがあり、それがとてつもなく重い。
さらに、私の鞄はいつもものすごく重い。
何冊ものガンの資料、母に関する事務手続きのファイルが入っているので、どうしても重くなる。
しかし、母はもちろん、姉も昔骨折で足首の靭帯を切っているので、長く歩いたり重いものを持つことができない。
そこでまたまた私のなけなしの男気が発動。
いかにも軽々と荷物を持ち上げ、余裕ありげにタクシー乗り場まで歩く。
またしてもプチ演技だ。

でも、こういう演技がばれていることも多いのだろうな。
特に荷物の重さなんかはなあ。
でも、とにかく母に心配をさせたくない。
怖いことから護ってあげたいのだ。

連休前半は私が母宅につめ、後半は姉に頼むことにしたので、姉とは都心の駅で別れる。
ちょうどラッシュ時間だったが、シルバーシートの若者に席を譲ってもらう。

家に帰ると母はぐったりとしてしまった。
あっさりした簡単な夕飯を用意する。
たくさん皿が並ぶと母は吐き気が出るので、自分の皿は食べ終わるたびにさりげなく床に置き、母から見えなくする。
膵臓から消化酵素がほとんど出なくなった母のため、梅干しをさりげなく出す。
唾液のアミラーゼという酵素は、炭水化物の消化に役立つからだ。

疲労がマックスになった母が早く寝ると言うので、枕元のアロマランプにラベンダーの精油を入れる。
少しでも母が安らぐように。


まだ母宅にはネットがつながっておらず、この記録も携帯でポチポチと打っています。
近くにホームセンターがないか調べたくてもネットがないと思うようにならず、トイレが辛い母のためにウォシュレットを導入したくても工務店も調べられず。
激務で遅い帰りの夫に、TOTOの代理店を調べてもらう。


ここまで書いたところで昨夜は力尽きました。
今日はウォシュレットの工事を手配したいのですが、連休で休みのところばかり。
10時になったら大手スーパーのトイレ部門に電話してみます。
by sima-r | 2008-05-03 09:27 | Mother
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るい 33歳女子。
<家族> 
夫 (スペハズ)
息子(ピースケ)
猫 (おひげ)
今日のピースケ
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