生活チープサイド

金木犀の匂い

町じゅうが金木犀の匂い。
最近は仕事中も窓を開けているので、さわがしい国道の音に混じってなつかしい匂いがする。

実家には、その界隈でいちばん大きな金木犀があった。
狭い敷地に根を張ったそれは道路を半分くらい覆ってしまうくらいで、ご近所には迷惑だったと思う。
それでも、子どもの頃から、秋といえばこの匂いだ。
犬小屋の上に降り積もる、オレンジ色の小さい花。
土の上をみっしり覆ったそれを集めて小さいビンに入れ、水を入れて香水にした子どもの頃。
当時まだ恋人だった夫が転勤したとき、金木犀のない町だったそこまで、家の金木犀の枝を折って持っていったこと。

匂いは目に見えないのに、いろんなことを思い出させる。
言葉みたいに人をだまさない、ぼんやりした感情まるごとがよみがえる。
魚を焼く匂い、祖母の家の仏間の匂い、父の愛飲していた煙草、濡れた犬の背中の匂い。
アゲハの幼虫の角、陽のあたる畑道、錆びた鉄棒と手のひらの汗、プールの塩素。
一瞬で、言葉にならない記憶がかたまりで戻る。

朝、同じマンションの人と通路ではちあわせて、「いい匂いですね」と言い合う。
それもいつか思い出になる。
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by sima-r | 2008-10-09 20:32 | Days
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