生活チープサイド

AKIRAセルフストーリーオペラ「Traveling man」

日曜日。
朝(というか昼)起きて、夫提案によりAKIRAさんのセルフストーリーオペラを見に南宇都宮へ。
AKIRAさんが始めた「セルフストーリーオペラ」とは、ある人が自分の人生を語り、そこにAKIRAさんが歌をかぶせていくというものなのだけれど、これは、本当にスリリングで面白い表現方法なのでした。
8/10の脳性まひブラザーズ(略してノーブラ)のセルフストーリーオペラを見たのだけれど、これは本当に本当に素晴らしかった!
障害を持って生まれ、そしてそれを「笑い」という武器にしているノーブラの二人の生き方は、ほんとにかっこよかった。
ありとあらゆる人には、それぞれの物語があって、みんなその人生を精一杯!生きているのだなあ~。
このとき、母が亡くなって10日しかたっていなくて呆然としていた私に、ノーブラのDAIGOさんは「落ち込むこともある、人生だもの」と言ってくれて、それは私がその後どーんと落ち込んだときに何度も思い出す言葉になりました。
(ノーブラのオペラは、今度の10/12にもやるそうです。
私は3連休に用事があるので行けないのですが、お暇な方は見逃せないですよ~!)

今回のAKIRAさんのオペラは、AKIRAさんが自分で自身の人生を語るというものでした。
正直言うと、私はいま母のことを思い出すと後悔でのたうちまわりたくなる時期に突入しているので、AKIRAさんのセルフストーリーを見てしまうのは怖い思いがありました。
だって、「Life is beautiful」とか、絶対正気で聴けない。
AKIRAさんのお母さんのガンの闘病の思い出を歌ったこの歌は、ものすごくいい曲だけれど、母と重なる部分が多すぎて痛い。
それでも、結論から言うと。
行ってよかった。
聴けて、本当によかった。

オペラは南宇都宮のギャラリー悠日で行われたのだけど、ここではいまAKIRAさんがヨーロッパ時代に描いた油絵も27日まで展示されています。
開場が17時からなのに15時半に我々は着いてしまい、でもせっかくなので入ると、AKIRAさんはめちゃめちゃリハの最中でした。
AKIRAさんは、ものすごく!集中している感じでした。
こ、声かけにくい~。
でも、その後おずおずと声をかける我々を、AKIRAさんはハグで歓迎してくれました。

油絵は、薄暗いギャラリーの中ですごい存在感でした。
もう、絶対リビングに似合わない感じ。 寝室に飾ったら夢に出そう。
AKIRAさんって、ほんとのほんとに画家だったんだな~。
私は「妄想ビーチ」という絵がとても好きなので、じっくりと眺めました。
何度見ても好き。
恍惚とした女の人の顔も体も、きれいなようでちょっと怖い背景も。
これはこの間のネアリカ・アートディでも特別展示されていましたが、薄暗いギャラリーで見るとまた違う味わいでした。
思ったのだけど、AKIRAさんは女の人と男の人の絵では、女の人のほうが気合いが入っている気がする。
やっぱりAKIRAさんが男だから?

開場をすぎ、人がたくさん集まってきました。
当初出ていた椅子じゃ足りなくなり、追加で椅子が並べられるほどでした。
AKIRAさんは最初に簡単にセルフストーリーオペラの説明をして、そして始まりました、「Traveling man」。

私はAKIRAさんの歌を全部聴いたことがないので、知らない曲は新鮮に、知っている曲は嬉しく聴きました。
1曲目の「Traveling man」は、AKIRAさんの放浪時代のことを歌った歌で、まさに自伝オペラの幕開けにふさわしい1曲でした。
2曲目の「おさない瞳」というのも初聴きだったのですが、泣けた!
これは、母親から見た子供の曲だったから。
「この世からいなくなるとき」というような意の歌詞(たぶん)のところで、AKIRAさんがこちらを見てくれた気がしました。

「ミタクオヤシン」は、聴くたびにAKIRAさんと母宅へ向かって歩いていたときのことを思い出します。
私はそのとき、母の詩集の表紙がどうしても決まらなくて、AKIRAさんとタクシーでホスピスから母宅へ行き、ネットでAKIRAさんの絵を選びに行ったのでした。
AKIRAさんは、私が「最近、なんかものすごく花がきれいに感じるんですよ」と言ったら、「それは、花がるいのことをきれいだと思っているってことなんだよ」と教えてくれました。
インディアンの教え、ミタクオヤシン。
花を美しいと思えば、花もまた自分を美しいと思っている。
樹にキスをすれば、樹もまたキスを返してくれている。
この考え方って、ものすごくいいなあと思う。
身の回りのあらゆるものに、敬意が自然に生まれてくる。
すべてが双方向性で、つながっているのだな、と思える。

オペラは、AKIRAさんの独白と歌をかわるがわる繰り返して進み、そして、AKIRAさんのお父さんが49年前に撮影した、AKIRAさんの生まれたときの映像が映し出されました。
そして、聴きおぼえのあるイントロ。
あ、まずい、と思ったら、「Life is beautiful」が。

映像は白黒で、古い映画みたいに途切れながら無音だった。
小さい小さい赤ちゃんのAKIRAさん。
産湯に入れるお母さんの白い手。
それを撮っている、姿の見えないお父さん。

うわあ、こういうシーンでこの曲を歌うのか!と思った。
私はAKIRAさんの本を読んでいません。
だから、AKIRAさんの家族がどんな風に壊れ、そして再生したのか、詳しくは知りません。
でも、母親のガンを期に家族が再生する、それを生々しく体験したばかりの私には、この曲はほんとに他人事じゃなかった。
キーワードが重なりすぎる。
かき氷、蝉時雨、あっというまだった、この白く光るような夏。

気づいたら泣いていて、私は絶対AKIRAさんの顔を見るもんかと思った。
泣こうと思ったわけじゃない、むしろ嫌だからかまえていたのに、あの映像と歌でやられた。
ほっぺたがびしょびしょになるくらい泣かされてしまった、ちくしょー。

でも、なんだか泣いたらすっきりしました。
この夏起こったいろいろなこと。
私は、いまやよくおぼえていないけど、なんだかとても頑張った気がします。
今の私は、これまでの自分の親不孝ぶりを思うと後悔ではちきれそうで、でもやはりそれとは別に母に腹がたったりもしていて、とても複雑な気持ちでいます。
でも、あのとき、たしかに家族は再生していた。
母と、姉と3人で、何か大きなことを成し遂げた。
それを、しばらくぶりに思い出しました。

最後の曲は「家族」。
「Life is beautiful」で涙は出尽くしていたので、しみじみと聴きました。
アンコールは、新曲の「三階なんとかコオロギ」じゃなくて「サンガイジュウネコラギ」。
そして明るい「なんくるないさ」。
みんなで「オイ!」とか声をかけるのとか、とても楽しかったです。

時間にして、正味1時間半。
49年の人生をコンパクトにまとめなくてはならなかったためか、独白部分が少し短いようにも感じました。
もっとたくさんエピソードを聴きたかったなあ~。
たくさん思い出の引出しがあるくせに~、と思い、いやそれは本で読めということかしらと思い、本を買い求める我々。
AKIRAさんは、サインに加えてとてもいい言葉を書いてくれました。
2冊買ったので2冊ぶん。
「君の流した涙がまなざしを深くする」
「間違いなんて存在しない」。

この夏の経験を通して、私が何度も思ったこと。
それは「無駄なことは何ひとつない」ということ。
全部が、ちゃんとゴールに、未来につながっている。
AKIRAさんは、そういうことをもうずっと前からわかっている人なのだな~。
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by sima-r | 2008-10-06 22:13 | Days
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