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生活チープサイド

セルフストーリー・オペラ「脳性マヒブラザーズwith AKIRA」

ぎりぎりまで迷っていた。
今日、中野ゼロホールでのAKIRAさんと脳性マヒブラザーズのセルフストーリーオペラ。
朝、母の遺骨の前に座って、行った方がいいか聞いた。
行け、と言われた気がして、行こうと思った。

私はまだちょっとおかしいのだ。
病院とホスピスでの付き添いを2ヶ月やって、食べ物が食べ物に見えなくなった。
白飯は炭水化物として、肉はタンパク質、野菜はビタミンと繊維、というように。
自分が倒れないことを意識しすぎて、食べ物が元素にしか見えない。
今はだんだん改善されてきたけど、それはまだ少し続いている。
それでも、母が行けと言うなら間違ってない。

そうして出かけた中野。
いきなり道を間違えたけれど、中野ゼロへ向かう道に、なんと「むし社」が!
クロマニヨンズ中野ライブで、ヒロトがリスペクトしていたあの「むし社」!
ヒロトスキーで生き物スキーなら、のぞかずにはいられない!
ドキドキしながら2階に登ると、そこにはめくるめくクワガタ・カブトムシワールドが…。
なつかしい匂い、甘い、おがくずの匂い。

さて、今回のライブは、脳性マヒブラザーズの二人のセルフストーリーオペラにAKIRAさんの歌がからんでいくというもの。
脳性マヒブラザーズは、脳性マヒであるDAIGOさんと周佐(しゅうさ)さんの二人が、それを逆手にとってお笑いコンビを結成し、地元新潟のみならずあちこちで公演を行っているという二人組だ。
最初は前座として月乃光司さんが「顔面漂流記」(石井政之著)という本の一部を朗読したのだけれど、それが本当にいい内容と朗読で、しょっぱなから泣く私。
朗読だけで、これだけ人を泣かすってすごいことだと思った。
そしてまた、母がやっていた詩の朗読を結局聞かずじまいだったことを後悔した。
これはきっと、一生後悔し続けるだろう、そんな予感。

そして脳ブラの二人が登場し、桃太郎コントで大笑いしたあと(私はDAIGOさんの○○○○の物まねがツボでした)、AKIRAさんが登場し、いよいよセルフストーリーオペラの開幕。

セルフストーリーオペラは、脳マヒブラザーズの二人がこれまでの人生を語り、そこにAKIRAさんの歌が、絶妙に交互に掛け合うように進んでいくというものだ。

「だいじょうぶ」。

DAIGOさんが言って、オペラは始まる。
最初の曲は、AKIRAさんの「Hello my mom!」。
何回も歌ってもらった曲なのに、毎度ながら全然歌の感じが変わる。
場所とか音響とかだけじゃなくて、それはAKIRAさんが人を思いやる力なのだと思う。
(あと、AKIRAさんの高音の部分、今回は全体を通してすごいいい声でした。)

そしてDAIGOさんと周佐さんのそれぞれの紹介のところで「限界」、「背中」。
二人がどうやって産まれ、脳性マヒであることがわかり、そして家族がどうなったか。
自分だったらどうするかとか考えながら「父よ、永遠に追いつけぬその背中」というサビを聴いていたら、また涙が出た。
この曲は、息子が父に対して思う男同士の歌だとこれまで私は思っていたのだけど、「父よ」を脳内で「母よ」に変えると泣けてしまう。
ちくしょー、絶対追いつけない、けど追っかけてやる。この母め~!!

そしてDAIGOさんの初恋についての話。
痛くてせつなくてたまらないはずのに、なのにこの人はすごい。
笑いをはさむ、泣かせながら笑わせる。
「シャバが恋しい~!!」という絶叫は、笑いとともに切実な思いがこめられていた。
そして、周佐さんの家族の話。
これはもう、痛すぎて辛すぎて、ぽろぽろ涙が出た。

そしてAKIRAさんの「僕の居場所」「いたいのいたいのとんでけ」。
「僕の居場所」は7月5日の吉祥寺でも聴いた曲だけれど、また違う解釈で聴けるからすごい。
ていうか、どんな人生にも寄り添うことのできる曲の在庫(?)がこれだけあるっていうのがAKIRAさんのすごいところだよなあ、と、痛くて辛くてしょうがない周佐さんの話のあとに初めて聴く「いたいのいたいのとんでけ」を聴きながら思った。

そしてDAIGOさんの就職の話と、周佐さんの弟さんの死についての話。
周佐さんは、横かぶりしていたキャップをいつのまにか前かぶりにして、台本で顔を隠すみたいにしながら、泣きながらしゃべる。
コント「桃太郎」での軽快なしゃべりじゃなくて、それは、辛い、辛い、告白だった。

そこにAKIRAさんの「Sorry」と「たったひとつの命」がかぶさる。
「Sorry」は初めて聴いた曲なのだけれどこれがまたよくて!
このオペラのために書いたのかっていうくらいのマッチング!!

そしてDAIGOさんが、自分の価値観をひっくり返したAKIRAさんとの出会いを語り、AKIRAさんもその「価値観をひっくり返した」セリフをしゃべる。
それは、障害者はブレイブハートを持って生まれてきた「勇者」なんだよ、ということ。
(AKIRAさんのセリフはもっと長くてかっこよくてガガーンときたのですが、DAIGOさんの反応があまりに良くて私が胸キュンしていたため詳細は失念!すいません!)
ここで「ブレイブハート」。これも初めて聴く曲。勇気の出る曲。

そして、周佐さんの話。
それは、AKIRAさんから、インド(?)の考え方では、「家族というものはいちばん仲の悪いもの同士を選んで家族にするんだ」ということを聞いたという話だった。
そして、何回も同じ家族をやり直しながら、その問題を幾世もかけて解決していくというもの。
私は同じ話をやっぱり先日AKIRAさんが母のお見舞いに来てくれたときにしてもらっていて、家族問題について長年悩んでいた私は救われた気がしたのだった。
「宿題は残っててもいい」、と、AKIRAさんはホスピスで言った。
全部解決しようとしなくても、次に残しておけばいい。
それは、つい頑張りすぎて全部やろうとしてしまいがちな私にとって、本当に救いになる言葉だった。

そうして、ピアノのノリさんのイントロ。「家族」だ。
初めて聴いたのがピアノバージョンだったのもあるけれど、「家族」という曲はピアノが本当に似合う。
母が、病室でCDを聴きながら「このピアノがいいね」と言っていたのを思い出して、私はまた泣く。
思い出がありすぎる。この曲は。

そして「だいじょうぶマイフレンド」でオペラは幕を閉じる。
みんな手拍子!!会場みんなの心がそろってる!!
アンコールの「Happy birthday」では、月乃さんと、今度AKIRAさんとセルフストーリーオペラをやるアイコさんもステージに上がって、DAIGOさんが桃太郎コントで使った剣で月乃さんを刺す真似をしたりして笑いを誘ったあと、AKIRAさんは高く跳んで(ノリさんの椅子をさりげなく踏み台にしてものすごく高く跳んでた)、終了~。


その後、祈りライブ以来の環樹さんと再会してお話ししたり、なんと母の詩集を買ってくださった方も現れて(トモさんありがとう!)、私はまたもへたくそなサインをたどたどしく母の詩集にしたのでした。

そして環樹さんには、私がDAIGOさんとヒロトがめちゃくちゃ似てると思って心をときめかしていたのを鋭く見抜かれてしまった…。
だって!いや、ほんともう、顔もそうだけど、突然度肝を抜くくらいいいこと言うとことか、もうもう!胸キュン!!
最後に、DAIGOさんに帰る挨拶をしに行く私を、まるで告白に行くクラスメイトを見守るような暖かい笑顔で見てくれていた環樹さん&トモさん…。

そしてドアを閉めて、さあ帰るぞ!と思ったら、なんとDAIGOさんが追いかけて来てくれてハグしてくれたのだった。
うわ~、これぜったい環樹様のお導きとみた!!

そして上に上がるとそこにAKIRAさんが!
挨拶して、またハグ。
私、今日だけで、夫、環樹さん、DAIGOさん、AKIRAさん、おひげ(うちの猫)にハグしてもらえて幸せだったなあ~。


そしてその足で、東京湾花火大会を見ながら母を偲んでくれるという阿賀さんの別邸へ。
マメさんという詩を書く方(めちゃくちゃいい人~)とお話しする。
花火は、花火の煙がなかなか去らないので全部クリアには見えなかったけれど、いろいろなことを花火を見つつ考えた。

花火にまつわる、いろんな思い出。
いろんな後悔。
私は母と、花火大会に行ったことがない。
誘われても誘われても行かなかった。
夫の家族とは見たのに。
母とは見なかった。

家に帰って、母の部屋で寝転がって、いろいろ母と話をした。
あやまったり、言い訳したり、怒ってみたり、たくさん泣いた。
家族の会話。
まだできる。
母は、まだどこにでもいる。
by sima-r | 2008-08-11 02:14 | クロマニヨンズ!
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日々思うこと。

by sima-r
るい 33歳女子。
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今日のピースケ
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