生活チープサイド

5/30のミッション

5/30、アート集団(ていうのも少し違うのだけど)ミッションポジティブ主催のイベントに行ってきました。
東中野のプリズン東京というライブハウスで、午後14時から夜10時近くまでの長いイベントです。

たくさんの出演者がいたのだけれど、私がいちばん見たかったのは海月光とAKIRAさん。
海月さんは、若干23歳という若さなのに恐ろしいくらいの才能のある歌い手。
AKIRAさんは、母の友人ということから去年の母の闘病を支えてくれて出会った、ミュージシャンであり画家であり作家でありあといろいろ、という多才な人。
とても懐の深い人です。

海月さんは、ものすごいという噂だけは聴いていたけれど、本当にすごかった。
彼女の、世界中のどこにも身の置き所がない、ただただ歌だけしかないというひりひりしたその切迫。
全身で愛を求めているようなのに、安直に手を差し出したら噛みつかれるような野生。
長い前髪の向こうから、鋭い目で睨まれてどきりとする。
慟哭みたいに叫ぶ、孤独で、ぎりぎりで、ただただ歌への衝動だけで生きてる。
そんな印象があった。
なんだか、母にイメージが重なった。



ステージ後、少し話をした。
海月という名前は、金子光晴の「くらげの唄」からとっているのだそうだ。
「心なんてきたならしいものはあるもんかい。」というこの詩。
詩人である私の母は金子さんの弟子だったから、私もこの詩は知っていた。
そうか、この子はほんとうに詩人なんだ。
そう思った。

詩人であることは美しいことではない。
詩人は、人生の闇をみつめ、人が目をそらすことから目をそらせない。
どんなにたくさんの人といても、旅をしても人と出会っても、恐ろしいほどに孤独だ。
幸福な詩人なんて、詩人ではない。
詩人は生き方だ。
詩を書くから詩人なのではない。
やめようと思ってやめられるものではない。
海月光は、その本当の意味での詩人なのかもしれないと思った。

ずっと歌い続けてね、と私は言った。
ステージを降りた海月さんは控え目で心優しい女の子なのだけれど、それを聞いて「はい」と言った。
眼の底で、「歌うことをやめるなんて考えられない」と言っていた。
言うに及ばないことだったかもしれないけれど、私はそれでも、彼女がこれからさまざまな出会いをし、たくさんの苦い思いも超えて、それでも歌うところが見たい。
50になった彼女の歌を聴きたい。
そう思った。

そしてAKIRAさん。
海月光を聴いた直後は、その迫力と声量に「AKIRAさん負けちゃうんじゃない~」とか言っていたのだけれど、始まってみたらやっぱりすごかった。
AKIRAさんは、私が妊娠したことを「梅ちゃん(私の母)が戻ってきた!」とすごく喜んでくれて、「命の歌」という曲を歌ってくれた。
その曲に至るまでの選曲がまた、私にはすごく響く曲ばかりだった。

「びっこのおかあちゃん」は、母を誇れなかった子供の歌
「おさない瞳」は、子供を残して死んでいく母からの歌
「命の歌」は、AKIRAさん曰く母が夢枕に立って書かせたという曲
「家族」は、もう言わずもがなの大名曲。
AKIRAさん、なんすかこの涙なくして聴けない曲順は!

「家族」は、母の闘病のときにずっと聴いていたのもあるけれど、聴いている間、去年の夏ホスピスですごしたあの日々をものすごくリアルに思い出してしまった。
簡易ベッドのごつごつした寝心地、室内のトイレのドアを閉めるときの力の入れ具合、アロマテラピーの精油を置いていた紙タオル入れのカバーの木の手触り。
担当の先生の口紅の色、ロビー、庭のねじ花。
つい昨日までそこに住んでいたんではないかと思うくらい、リアルだった。

ライブが終わって、AKIRAさんは私のおなかに手を当てて「ハローマイマム」を歌ってくれた。
まだそんなにおなかは出てないから脂肪ばっかりですみません・・・と思いながらも、私は嬉しかった。
たくさんの会いたかった人たちにも会えて楽しかった。


本当は、このイベントに来るのは気が重かった。
それは、絶対に!タバコ臭いと思っていたから。
地下の店で換気が悪いし、なぜかこういうイベントに来る人たちはものすごく煙草を吸うものだから。
私は煙草の匂いが世界でいちばん嫌いだ。
さらに今は妊娠して匂いに敏感になった上に、煙草の煙は胎児の心音を弱めるというので不安もあった。
結局、やっぱり来る人来る人みんな煙草を吸うのでとても会場にいられず、会場の外の階段や、そこも臭くなると道路まで出て、夜道ふるえながらAKIRAさんの出番を待っていた。
AKIRAさんの出番が来て、どうしても中で聴きたいからおしぼりを厳重に鼻にあてて聴いていたけれど、それでも隣で吸われると銘柄までわかるくらい臭い。
せっかくのAKIRAさんの歌も、かすむくらいに臭い。

やっぱり、結局は弱い者は強い者に負けてしまうのだな。
こうやって、弱い者は行きたいところにも行けなくなっていくのだな。
強い人たちが、自分たちのせいだとは思いもしないままに。
吸わないで下さいとお願いした隣の席の人が、ごめんねと頭を下げて席を30センチばかりずれて煙草をくわえるのを見て、つくづくとそう思った。

とても楽しかった、けれどとても辛かった。
それが今の正直な気持ちです。
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by sima-r | 2009-06-02 21:36 | Days
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